国産ゴマ

あまり知られていないことですが、現在、国内で消費されているゴマの99%以上は輸入ものです。国産のものは、まずか0.1%ほどしかありません。人件費の高い日本では、輸入ゴマと国産ゴマの価格比は10倍ほどにもなります。値段で比較されると、国産ゴマは輸入ゴマに太刀打ちできないので、現在国内で栽培されているゴマは金ゴマなどなんらかの付加価値のあるものが多くなっています。農作物のなかでは、鮮度があまり問題にならないゴマは、国産と輸入品に大きな差がありません。ゴマはもともと熱帯の植物なので、海外産のものの方が、品質が高い場合もあります。そこで、国産のゴマは、ブランド化して高付加価値製品として育てていく方向にあります。
しかし、そのわずかな0.1%の半分以上が、喜界島という奄美諸島の島で生産されています。もはや日本ではほとんど目にすることのないゴマの栽培ですが、喜界島は本格的なゴマ栽培のようすを見ることができる、全国でも貴重な場所です。喜界島の主力はさとうきび栽培ですが、同じ畑でさとうきびばかり作り続けていると、土地がやせてしまいます。その点、ごまは、種をまいてから収穫まで3,4ヶ月ですから、さとうきびの合間に栽培するものとして効率がよいのです。それで、ゴマの栽培が喜界島で広がりました。 ごまの収穫はほとんどが手作業です。刈り取りこそ、バインダーを使う人もいますが、鎌で手刈りする人もまだまだ多いです。刈り取ったら、束にして天日で乾燥させます。カラカラに乾いたら、束のままたたきます。バラバラ落ちてきたゴマを集めて、ふるいや選別機にかけてゴミを取り除きます。仕上げに再び天日乾燥させます。ゴマの栽培・収穫は、なかなか機械化が難しく、手作業に頼らざるを得ない部分が多いです。


なぜ中華料理ではゴマををよく使うのか?

中国にゴマが伝わったのは、紀元前3000年頃です。かなり古くからゴマを利用していた地域の一つで、栽培にも適し、現在でも中国は、ゴマの生産量世界一をインドと争っています。さらに、中国では医食同源という思想があり、ゴマの健康にいい特質がそこに結びついたという面もあります。中国でゴマ料理が普及したのは、こうした歴史ゆえです。さらにアジアにはゴマ料理が多いです。それは、ゴマの栽培に適した自然環境が整っていたからです。

また、お寺といえばゴマというほどに、精進料理ではゴマをよく使います。かつてゴマは高貴な食材として珍重されており、貴族や寺院しか利用できませんでした。と同時に大豆と並んで貴重なたんぱく源になるということが、精進料理でよく使われた理由でしょう。ちなみに、江戸時代にはゴマ栽培は全国に広がりましたが、そのころもまだ庶民には高値の花でした。